対照実験(たいしょうじっけん)とは、条件を変えた場合の結果の違いから、その条件が必要(あるいは不必要)なものかを調べる科学実験の基礎です。中学入試の理科ではこの対照実験が物化生地を問わず出題され、受験生の「条件整理」を試してきます。
対照実験の問題を目前にして受験生がすることはとどのつまり、
・1つだけ条件(条件A)が違う実験を2個さがす
・その2個の実験の結果の違いをくらべ、条件Aが必要かそうでないかを調べる
この繰り返しです。難しい対照実験問題もありますが、考え方を変えれば、答えは必ず与えられた文章中にあるわけです。
さてそこで今回のタイトル「
空気・酸素、どっちが正解?」とはどういう事か。具体例をあげて考えてみます。
<対照実験>
室内でインゲンマメの種子を用意し、以下の2つの実験で発芽するかどうか調べる。
[実験1]室温20℃で、種子をしめった布の上に置く。
[実験2]種子を水温20℃の水に完全につけておく。
賢明なる理総研メンバーであれば、発芽するのは実験1であるとわかるはずです。しかしちょっと待ってほしい。入試問題ではあなたが思考しなくてもきっちり実験結果が与えられます。
<結果>
[実験1]発芽する
[実験2]発芽しない
大方の予想通りの結果です。そこで問題。
<問>
実験1と実験2より、インゲンマメの発芽に必要な条件を答えなさい。
・・・
そう、
正解は「空気」です。ここで「酸素」と答えるのはある意味で反則です。やさしい先生なら酸素と答えても丸をくれるかも知れませんが、
鬼で知られる管理人は丸などつけません。
それはなぜかというと、実験1と2をくらべるとき、インゲンマメが空気に触れているか触れていないかその1点のみ条件のちがいがあり、そして結果のちがいがあり、
「空気中の何が必要かまでは調べていない」からです。もしかしたらインゲンマメの発芽にはちっ素が必要なのかもしれないけど、そんな細かいところまではこの問題では調べていません。
酸素と答えてしまった人は、知識が先回りして出題者の意図に的確に答えていないといえます。このように対照実験とは、例え頭の中で(知識として)条件と結果が分かっていても、それをそのまま答えにしてはいけないものなのです。
発芽の3条件→(酸素・水・適温)という知識は受験生に必要です。知識を問われたのであれば迷うことなく「酸素」と答えてOKです。実験からわかることは何か?を問われたならば、その実験でわかる以上の事を勝手に答えないようにしましょう。